社会現象としてのイノベーションを研究対象とした社会科学の大学の研究センターで研究したこともある。まんざら、「イノベーション」がどのようなものであるかを知らないわけでもない。「白い光」と「イノベーション」がからんでいる友人の新規事業をコメントするうえで、まったく適していないというわけでもないだろうと思う。しかし、なぜ、「白い光」なのだろうか。そもそも、「白い光」とは何だろうか。明かりの歴史はじつは、太陽光にできるだけ近い「白い光」を求める営みであったのだが、ではなぜ、私たちは「白い光」を必要としているのだろう。私たちの祖先である原人が地球の上を歩きまわっていたころから、炎の明かりは使われてきた。しかし、「無色透明」な自然の光とは異なって、炎の「黄色い」明かりは、ものの色を太陽光のように「正しく」見せてはくれない。だから、明かりを手に入れて以来人類は、「白い光」をつくりだすことにエネルギーを注いできた。炎の明かりが現在の白熱電球や白色蛍光灯にたどりつくまでに、そして急速に普及しはじめている白色発光ダイオードにたどりつくまでに、人はどのように「白い光」に取り組んできたのだろうか。これが、知りたい第一のテーマである。そしてもう一つ。「白熱電球」と「白色蛍光灯」は20世紀になって、そして、この二つに先立つ「白熱ガス灯」は、19世紀になって発明された「白い光」の光源である。白色発光ダイオードは21世紀になる直前になって発明された。しかし、それだけではない。これらの「発明(インベンション)」は、社会に広く普及して人々の生活を変えたのはもちろん、新しい産業をつくりだし、あるいはこれまであった産業を衰退させた「イノベーション」でもあった。それがどのような原理に基づいてどのように生みだされ、社会に何をもたらしたのか。これが知りたい第二のテーマである。それをこれから説明していこうと思う。友人の新規事業を理解するためにも、知っておきたいところだ。