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人力で愉しむ自転車旅

当たり前の話だが自転車の旅における推進力は、旅人自身である。ペダルを踏むことなしにはどこへも行くことができない。長い坂があれば喘ぎながら上るはかないし、荷物が増えればその分労力は増す。向かい風は上り坂と同じような効果をもたらす。自転車の旅にまったく興味のない人には、ただの苦行にしか思えないであろう。しかしそれは誤りである。旅を愛するサイクリストにとっては、自らの身体を使って旅の行程を進めていくことこそ、大きな歓びなのだ。

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とはいえ、誤解のないよう、自転車旅の経験が少しもない人にはここで簡単に説明しておかなければならないが、経験を積んだサイクリストが、きちんとした機材、つまり身体に合った一定以上の品質のスポーツサイクルを使用し、正しい乗車姿勢が出るように各部を調整し、正しいフォームで走行すれば、平地を1日に100km走行することは、それほど困難なことではない。この辺りのことは、あとでまたふれるけれども、まったくサイクリングの経験のない人が、買物用自転車での四苦八苦を基準に自転車旅を辛いものと考えるのは、大きな誤りであることだけはわかってほしいのだ。