思春期になると、たとえば親の価値観が醜く見えたり、大人の世界のイヤらしい面に激しい憤りを感じたりする。思春期は、これまでひそんでいた攻撃性が、メチャクチャ強くなる時期でもあるのだ。しかし、「気にくわないから暴れる」「ムカつくから殴る」というような、無鉄砲な行動には走らない。ありあまる攻撃性のエネルギーを別の形に変え、自分の創造的な活動につぎ込めるようになるからだ。これを、心理学用語で「昇華」という。たとえば、進路指導の教師に、「え、早稲田に行きたい?はは、この成績じゃ絶対ムリですね」などといわれ、ものすごく頭にくる。ほんとうならば、その場で殴り倒してやりたい。でも、顔では「へへ、やっぱそうですか」などと、適当にとりつくろう。しかし、怒りはおさまらない。「くそっ、ほんとうに早稲田に受かって、あいつに復讐してやる!」これも、一種の「昇華」だ。しかも、ほんとうに早稲田に受かってしまうことがある。攻撃的なエネルギーが強いぶんだけ、得られる結果も大きいのである。この攻撃性の強さのために、思春期はまた、敵を作りやすい時期でもある。札つきの不良とバリバリの優等生が、最後に肩を抱き合って友情を確認するというのは、学園青春ドラマの世界にしかない。