「治ることはないですか」−病気は治すものではなく、つきあうものです。これは、私に限らず、精神科医がほんとうによく使うフレーズだと思います。精神科の病気の中でも、とくに統合失調症は、そう簡単に治ったと言えるような病気ではありません。でも、患者さんは、治療をつづければきっといつかは治るだろうと思っています。これは当然の心理だと思います。これに対して、「治りません」と答えることは、ふつうはしません。それは、患者さんにとって酷だからなだけではありません。責任を持って答えるかぎり、「治る」とは言えませんが、「治らない」と言ってしまえるほど単純なものでもないからです。ここに示した答えのほか、「ちゃんと治療すれば、よくなりますよ」という言い方をすることもよくあります。「治る」という言い方を避けながら、現実にありうる希望を与えるわけです。